あなたの保険を年の途中で解約した場合:生命保険料控除はどうなる?
保険を途中解約したら節税効果はどうなるのか
生命保険や医療保険、個人年金保険など、保険は私たちの万一に備える大切な役割を果たします。一方で、支払った保険料は、所得税や住民税の計算において一定額が控除される「生命保険料控除」の対象となり、家計の負担を軽減する節税効果も期待できます。
しかし、ライフステージの変化や契約内容の見直しなどで、加入中の保険を年の途中で解約することもあるかもしれません。この場合、「支払った保険料はもう控除の対象にならないのでは?」と疑問に思われる方もいらっしゃるでしょう。
この記事では、保険契約を年の途中で解約した場合の生命保険料控除の取り扱いについて、分かりやすく解説します。
年の途中で解約した場合の生命保険料控除
結論から申し上げますと、保険契約を年の途中で解約した場合でも、その年の1月1日から解約日までに実際に支払った保険料については、生命保険料控除の対象となります。
大切なのは、「1年間の契約に基づく保険料」ではなく、「その年に実際に支払われた保険料の合計額」が控除の対象となるという点です。
例えば、1月1日に契約があり、6月30日に解約した場合、1月から6月までの間に支払った保険料が控除の対象となります。
控除対象となる保険料の計算方法
年の途中で解約した場合の控除対象保険料は、解約日までの支払方法によって計算の仕方が少し異なります。
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月払いで保険料を支払っていた場合 1月1日から解約日までの間に支払いが完了した月数分の保険料の合計額が控除対象となります。例えば、毎月25日支払いで、6月30日に解約した場合、1月から6月までの6回分の保険料が対象です。
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年払いで保険料を支払っていた場合 年の途中で解約した場合でも、すでに支払ったその年の年払い保険料の全額が、その年の控除対象となります。保険期間の残月数に応じた未経過分の保険料が戻ってくることがありますが、控除額の計算においては、実際に支払った年払い保険料の額が基準となります。
生命保険料控除証明書を確認する
生命保険料控除を受けるためには、「生命保険料控除証明書」が必要です。この証明書には、その年に支払った保険料の合計額が記載されており、これが控除額計算の根拠となります。
通常、保険会社は毎年10月頃にその年の1月1日から9月末までに支払われた保険料に基づいた控除証明書を送付します。年の途中で保険を解約した場合でも、それまでに支払った保険料に応じた証明書が発行されます。
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解約前に証明書が届いていた場合: 解約日までの支払額と証明書に記載されている金額が異なる可能性があります。その場合は、保険会社から再発行される証明書、または解約精算時に発行される支払保険料に関する書類などで、最終的に支払った保険料額を確認する必要があります。
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解約後に証明書が届く、または届かない場合: 解約後も、その年の支払保険料に基づいた控除証明書が送付されることが一般的です。もし届かない場合や紛失した場合は、保険会社に連絡して再発行を依頼してください。年末調整や確定申告で、この証明書が必要になります。
年末調整や確定申告での手続き
年末調整や確定申告で生命保険料控除を申告する際は、給与所得者の扶養控除等(異動)申告書や確定申告書の所定の欄に、控除証明書に記載されている「申告額」または「証明額」を記入します。そして、証明書を添付して提出します。
年の途中で解約した場合でも、証明書に記載されたその年の支払保険料額に基づき、他の保険契約と合算して、定められた控除額計算式に従って控除額が計算されます。
まとめ:途中解約でも支払った保険料は控除対象
保険契約を年の途中で解約した場合でも、その年の1月1日から解約日までに実際に支払った保険料は、生命保険料控除の対象となります。年末調整や確定申告でこの控除を受けるためには、保険会社から発行される生命保険料控除証明書(またはそれに準ずる書類)が必要です。
解約した場合でも、支払った保険料が無駄になるわけではなく、その支払額に応じた税負担軽減の効果は得られます。もし証明書が見当たらない場合は、忘れずに保険会社へ再発行を依頼しましょう。
なお、税法は将来的に変更される可能性があります。最新の情報やご自身の具体的な状況については、必ず税務署や税理士などの専門家にご確認ください。