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あなたの保険、どれが一番お得?生命保険料控除の種類別節税効果を比較解説

Tags: 生命保険料控除, 節税, 所得控除, 保険の種類, 控除比較

あなたの保険の節税効果を知る:生命保険料控除の種類を比較解説

保険に加入されている方の中には、「節税になるって聞いたけど、具体的にどうなの?」「私が払っている保険料はどのくらい節税になるの?」といった疑問をお持ちの方もいらっしゃるのではないでしょうか。特に、複数の保険に入っていると、どの保険がどのような節税効果をもたらすのか、分かりにくく感じることがあるかもしれません。

このサイトでは、保険の節税効果について分かりやすく解説しています。今回は、個人が保険料を支払うことで受けられる主な税金の軽減制度である「生命保険料控除」に焦点を当て、その種類ごとの特徴と節税効果を比較しながら解説します。

あなたが加入している保険が、どの種類の生命保険料控除の対象になるのか、そしてそれぞれの控除によってどのくらいの節税につながる可能性があるのかを知ることで、ご自身の保険契約をより深く理解し、家計の改善にも役立てることができるでしょう。

生命保険料控除とは?税金が軽減される仕組み

まず、生命保険料控除の仕組みについて簡単に説明します。生命保険料控除とは、1年間に支払った生命保険料に応じて、所得税や住民税の計算のもとになる「所得」から一定額を差し引くことができる制度です。この差し引かれる金額を「所得控除額」といいます。

所得控除が増えるということは、税金の計算対象となる所得が減るということです。これにより、最終的に納める所得税や住民税の金額が軽減される、これが生命保険料控除による節税の仕組みです。年末調整や確定申告で、この控除を申告することで税金の軽減が受けられます。

生命保険料控除には、いくつかの種類があります。あなたの加入している保険の種類によって、どの控除の対象となるかが異なります。

生命保険料控除の3つの種類と比較

現在の生命保険料控除制度(新制度、主に平成24年1月1日以後に締結した保険契約に適用)には、以下の3つの種類があります。

  1. 一般生命保険料控除
  2. 介護医療保険料控除
  3. 個人年金保険料控除

それぞれの控除について、対象となる保険の種類と控除額の上限を見ていきましょう。

1. 一般生命保険料控除

具体的な控除額は、1年間に支払った保険料の金額によって決まります。例えば、所得税の場合、年間支払保険料が4万円超8万円以下の場合は支払保険料×1/2+2万円、8万円超の場合は一律4万円が控除額となります。

2. 介護医療保険料控除

こちらの控除額の計算方法も、一般生命保険料控除と同様に年間支払保険料に応じて決まります。

3. 個人年金保険料控除

この控除も、年間支払保険料に応じて控除額が決まりますが、上記の税制適格特約が付加されていない個人年金保険は、この控除の対象にはなりませんので注意が必要です。

節税効果の比較と合計控除額の上限

それぞれの控除の種類ごとに、所得税・住民税の控除額の上限は同じ「所得税:4万円、住民税:2万8千円」となっています。つまり、単体で見た場合の控除額の上限に種類による差はありません。

しかし、重要なのは合計控除額には上限があるという点です。

新制度の場合、3つの種類の控除(一般、介護医療、個人年金)それぞれで年間支払保険料が一定額を超えると、各控除の上限額(所得税4万円、住民税2万8千円)まで控除を受けることができます。

さらに、これら3つの控除を合わせた合計の控除額にも上限があります。

例えば、一般生命保険料を年間8万円、介護医療保険料を年間8万円、個人年金保険料を年間8万円支払っている場合(すべて新制度の契約)、それぞれの控除で所得税の控除額は上限の4万円となります。この3つの控除の合計は4万円+4万円+4万円=12万円となり、所得税の合計控除額の上限である12万円まで控除を受けることができます。

一方、住民税の場合、それぞれの控除で控除額は上限の2万8千円となりますが、合計控除額の上限は7万円ですので、2万8千円×3種類=8万4千円ではなく、7万円が上限となります。(この場合、通常は各控除で計算された控除額を合算し、上限の7万円を超えた場合は按分などを行いますが、ここでは詳細な計算方法は割愛します。)

このように、どの種類の保険に加入しているかというよりも、年間でどのくらい保険料を支払っているか、そしてそれがどの控除の対象となるかによって、最終的な節税効果(合計の所得控除額)が変わってきます。

「どの保険が一番お得か」という問いに対する直接的な答えは、「単体での控除額の上限は種類によらず同じだが、加入している保険の組み合わせと支払保険料の合計額によって、受けられる合計控除額が変わる」ということになります。例えば、一般生命保険と介護医療保険に手厚く加入している方が、個人年金保険にも加入することで、さらに所得控除額を増やし、合計控除額の上限に近づけることができる、といった考え方ができます。

既加入者が確認すべきポイント

ご自身が既に加入している保険で、どのくらい節税できているのかを知りたい場合は、以下の点を確認してみましょう。

  1. 保険料控除証明書を確認する: 毎年秋頃に保険会社から郵送される「保険料控除証明書」には、あなたが支払った保険料がどの生命保険料控除(一般、介護医療、個人年金)の対象となるか、そしてその金額が記載されています。新制度の契約か旧制度の契約か、そしてどの控除の対象かは、この証明書を見れば分かります。
  2. 年間支払保険料を確認する: 証明書に記載されているその年の合計支払保険料を確認しましょう。
  3. 控除額を計算してみる: 上記で説明した計算方法(簡易計算)や、保険会社から提供される情報などを参考に、それぞれの控除額と合計控除額を計算してみましょう。所得税・住民税の税率(所得によって異なります)をかけることで、おおよその節税額を把握できます。
  4. 保障内容とのバランスを見る: 節税効果だけでなく、その保険がご自身の万が一や病気・怪我、老後に必要な保障をしっかりとカバーしているかどうかも重要な視点です。節税のためだけに不要な保障に加入することは避けるべきです。

まとめ

生命保険料控除には、一般生命保険料控除、介護医療保険料控除、個人年金保険料控除の3つの種類があり、それぞれ対象となる保険が異なります。単体の控除額の上限は種類によらず同じですが、複数の保険に加入している場合は、これらの控除を組み合わせることで、合計の所得控除額を増やし、より大きな節税効果を得られる可能性があります。

ご自身の保険契約がどの控除の対象となっているか、そして年間いくら保険料を支払っているかを確認し、保険料控除証明書を使って年末調整や確定申告で申告することで、税金の負担を軽減することができます。

ただし、税法は将来的に変更される可能性があります。また、ご自身の具体的な状況や所得によって節税額は異なります。最新の情報やご自身の具体的な状況については、必ず税務署や税理士などの専門家にご確認ください。保険の加入や見直しを検討される際は、節税効果だけでなく、ご自身のライフプランに必要な保障内容であるかを十分に考慮することが大切です。