あなたの加入している共済は節税になる?保険料控除の対象と知っておきたいこと
あなたの加入している共済は節税になる?保険料控除の対象と知っておきたいこと
多くの方が、万が一に備えるために生命保険や医療保険に加入されていますが、近年では共済にも加入されている方が増えています。共済も保険と似た仕組みで、加入者同士がお金を出し合い、困ったことが起きた際に助け合う制度です。
「共済に加入しているけれど、生命保険のように税金が安くなるのだろうか?」
このような疑問をお持ちの方もいらっしゃるかもしれません。この記事では、あなたが支払っている共済の掛け金が、税金計算においてどのように扱われるのか、特に「生命保険料控除」との関係に焦点を当てて、分かりやすく解説します。
共済の掛け金は生命保険料控除の対象になるのか
結論から申し上げますと、共済の種類によっては、あなたが支払った掛け金が生命保険料控除の対象となり、税金が安くなる可能性があります。
ただし、全ての共済の掛け金が対象になるわけではありません。生命保険料控除の対象となる共済は、所得税法によって定められています。具体的には、以下の根拠法に基づく共済契約の掛け金が対象となる場合があります。
- 農業協同組合法
- 消費生活協同組合法
- 漁業協同組合法
- 中小企業等協同組合法
- 生活協同組合法(旧法)
- 特定の弁護士会、税理士会等が実施する共済
これらの法律に基づいて設立された共済のうち、生命共済、医療共済、年金共済など、保険料控除の対象となる保障内容を持つ契約の掛け金が、生命保険料控除(一般生命保険料控除、介護医療保険料控除、個人年金保険料控除)の対象として認められることがあります。
つまり、あなたが加入している共済が上記のいずれかの法律に基づくもので、かつ、その共済契約が生命保険料控除の要件を満たす保障内容を含んでいる場合に、掛け金が控除の対象になり得ます。
どのような共済が生命保険料控除の対象になりやすいか
具体的にどのような共済が対象になりやすいのでしょうか。上記で触れた法律に基づく主な共済としては、以下のようなものが挙げられます。
- JA共済(農業協同組合): ひと・いえ・くるまの総合保障を行っており、生命共済や医療共済、年金共済などの掛け金が生命保険料控除の対象となり得ます。
- CO・OP共済(消費生活協同組合): 生命共済や医療共済など、様々な保障を提供しており、掛け金が生命保険料控除の対象となり得ます。
- その他: 漁業協同組合が行う共済や、中小企業等協同組合が提供する共済なども、特定の契約が対象となる可能性があります。
ご自身が加入している共済が生命保険料控除の対象となるかどうかは、共済の種類だけでなく、個別の共済契約の内容によって決まります。
共済の掛け金が控除される仕組みと節税額
共済の掛け金が生命保険料控除の対象となる場合、その仕組みは一般的な生命保険と同様です。支払った掛け金の一部または全額を、所得から差し引くことができます。これにより、所得税や住民税の計算対象となる所得が減り、結果として税金が安くなるという仕組みです。
生命保険料控除には、契約した時期によって「新制度」と「旧制度」があり、それぞれ控除できる金額の上限が異なります。また、保障内容によって「一般生命保険料控除」「介護医療保険料控除」「個人年金保険料控除」の3つの枠に分かれています。共済の掛け金も、これらの枠に当てはめて控除額が計算されます。
例えば、新制度の場合、各控除枠(一般、介護医療、個人年金)につき、年間支払保険料等に応じて、所得税では最大4万円、住民税では最大2万8千円が控除されます。複数の枠の合計では、所得税で最大12万円、住民税で最大8万4千円が控除の上限となります。
あなたの共済の掛け金がこれらの控除枠の対象となれば、支払った掛け金の金額に応じて、この上限内で所得控除を受けることができます。
簡易的な計算例(新制度・所得税の場合)
- 年間支払共済掛け金(生命共済など、一般生命保険料控除の対象となるもの)が5万円の場合: 年間支払保険料等が4万円超8万円以下のため、控除額は「年間支払保険料等 × 0.25 + 2万円」で計算されます。 5万円 × 0.25 + 2万円 = 12,500円 + 2万円 = 32,500円 この場合、あなたの所得から32,500円が差し引かれ、その分だけ所得税が安くなります。税率が20%であれば、約6,500円の節税効果が見込めます。
これはあくまで簡易的な例です。実際の控除額は、支払った共済掛け金の合計額、他の生命保険料控除の対象となる保険契約の有無、新旧制度の区分などによって異なります。
申告に必要な手続きと確認すべきこと
共済の掛け金で生命保険料控除を受けるためには、年末調整や確定申告で申告手続きを行う必要があります。この際、共済から発行される「控除証明書」が必要になります。
控除証明書には、その年に支払った共済掛け金の金額や、その共済契約が生命保険料控除のどの枠(一般、介護医療、個人年金)に該当するかが記載されています。この証明書に基づき、正確な控除額を計算し、申告書類に記載します。
あなたが既に共済に加入されている場合は、以下の点を確認してみましょう。
- 加入している共済の種類: どの法律に基づいて設立された共済かを確認します。
- 契約内容: 加入している共済契約が、生命保険、医療保険、年金保険など、生命保険料控除の対象となる保障内容を含んでいるかを確認します。
- 控除証明書の有無: 毎年秋頃に、共済から控除証明書が送られてくるか確認します。控除証明書が送られてこない場合は、その共済は生命保険料控除の対象ではない可能性が高いです。
不明な点があれば、加入している共済の担当者に直接問い合わせてみるのが最も確実な方法です。
まとめ:共済と生命保険料控除
あなたが支払っている共済の掛け金は、特定の条件を満たす場合に生命保険料控除の対象となり、税金負担を軽減できる可能性があります。重要なのは、加入している共済が所得税法で定められた対象団体のものであること、そして契約内容が生命保険料控除の要件を満たしていることです。
お手元に届く共済からの控除証明書を確認することで、ご自身の共済が控除対象となっているかどうかが分かります。年末調整や確定申告の際には、この証明書を忘れずに提出または保管し、適切な申告を行いましょう。
税法は将来的に変更される可能性があります。また、ご自身の具体的な状況によって税務上の扱いは異なります。最新の情報やご自身の具体的な状況については、必ず税務署や税理士などの専門家にご確認ください。
共済は保障だけでなく、税制上のメリットも期待できる場合があります。ご自身の加入状況を確認し、賢く活用を検討してみましょう。